「こういうデッサンって、何を基準に上手い下手ってわかるんですか」
描き始めの人から、こんなことを最近聞かれました。
絵を言葉で語るというのは本当に難しく、取りこぼすものが多すぎて、
つい慎重になりがちなのですが、その日は、普段感じていることが
するりするりと出たような気がします。
「簡単にデフォルメっていうんだけど、処理の仕方ですよね。10分だから、
顔のパーツとか、骨の盛り上がりとか、陰影で描いていられないわけです。
そうすると例えば横顔のまぶた、頬骨、鼻とか唇、これをシンプルな線で
処理しないといけない。
もちろん奥のほうからのまわり込みとか、石膏デッサン的な写実性も
頭に入れた上で・・・。上手い人のデッサンは、一本一本の線がすごく密度が濃い。
一本の線で、物凄くたくさんのことを表現しているんです。
ときどき、ちょっと凄まじいくらい」
こういったことは、自分でデッサンしているうちに見る目がついてくる、
そういうこともあります。
弁慶の泣き所というスネのあたりは、なぜか骨が少しふくらんでる、とか。
横から見ると分かります。
でも、例えばモデルに力士を連れてきたら、そういうことは分からないかもしれない。
肋骨まわりだって、どんなポーズをとっても丸でしょうから、
「この人ひねるとこんなラインがでるのか!」といった新鮮な驚きもないでしょう。
だからここでは、細さを持つモデルなんですね。
線描きと密接につながっているのです。
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小野真理子 (火曜日, 29 5月 2012 00:23)
このコメントは内藤さんが書かれていらっしゃるのですか?
私はデッサンに感じていて、でも言葉にならないものを形にしてくださっているので、なるほどなあと感心してしまいます。
これからも形にしてくださることを楽しみにしています。
ではまた、ポシェットクラブかセツでお会いできる日を楽しみにしています。
内藤 (土曜日, 09 6月 2012 14:14)
小野さん、いつも熱心に描いていらっしゃるので、すばらしいな~と思っています。
一応私が書かせてもらっていますが、先生から見聞きしてもらったものを翻訳、編集している感じです。
誤訳がなければいいな、と思いながらですが・・。
今後もよろしくお願いしますね。